s_02114x帝国データバンクの情報誌に、毎月コラムを掲載しています。購読者の層が広いため、内容が少し大きな枠組みになることがあります。
1月の原稿は、年初でもあったので、少し気合いを入れた文章になりました。

日本の社会的構造として、2020年を過ぎると、団塊の世代が一斉に後期高齢者に突入します。昭和22年生まれの赤ん坊は、270万人近くありました。(2013年は103万人)1歳刻みで、200万人を超える「人口の塊」が一斉に、税金を払わず、年金をもらい、高額の医療費を受け取る側に回って行きます。
これは誰が悪い、というような矮小な話ではなく、日本という国家や社会が抱えている構造的な課題ですので、日本国内で生きて行く上で、誰も逃れることのできない枠組みです。枠組みなので、個人で備えるには少々荷が重い課題です。
しかしながら、組織としては「備え」が重要です。「商品、サービスの検証」「人財育成の精度と速度」「組織システムの再構築」という組織活性化の3要素の洗い直しをしておかなければ、あっという間に淘汰の波に流されてしまいます。世の中は、2020年の東京オリンピック、パラリンピックに浮かれていますが、その年が心得ておかなければならない年であることも忘れてはなりません。

昨今の中小企業の消滅数は、1日に319社です(東京商工リサーチ調べ)。倒産件数ではなく、後継者不在による自主廃業とM&Aによる企業買収が原因です。

残された6年間をどのように意識するか。同時にその大変化への「組織的取り組み」が重要です。

 

【帝国ニュース 1月掲載コラムより】

〜昨日の風 明日の風〜

経営コンサルタント独白録 第10回

 

6年後に「備える」

 いよいよ新しい年の始まりです。平成も25年・四半世紀を終え、26年目に入りました。平成元年は1989年のことですから、当時Windowsパソコンはまだ世に現れてはいませんでしたし、携帯電話は黎明期を迎えたばかりでした。以来25年を経て、またここに新しい時代が幕を開けました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

2回目の「東京オリンピック」は、2020年に予定されています。今から6年後のことで、それに向けて様々な分野で需要が見込まれ、大きな経済効果が期待されています。直接効果で1兆円、生産誘発効果総額で2.1兆円という試算も出されていて、オリンピック招致決定後に素早く株価も動きました。何しろ日本では56年ぶりの開催ですから、開催施設や道路、鉄道に始まって国際的な観光効果など経済の起爆剤としての期待は大いに高まっています。年末に東京や横浜で経営者の方々と話をしていても、それを待ち望む気配が濃厚で、これから6年間が勝負だとそれぞれに発言されていました。

1991年のバブル崩壊以来、失われた20年と言われた日本経済は、なかなか立て直すきっかけが掴めず、ズルズルと後退局面を引きずっています。震災復興も原発の事故との複合課題が大きく、日本経済をけん引するような大きなうねりとはならず、局所的な動きと限られた業界の動きに留まっています。

マスコミが言うように、2020年に向けて大きく日本経済が動くことは間違いありません。しかしながら、その後の風景を指摘する記事は少ないようです。

2020年問題、2030年問題

まず間違いなく、東京オリンピック以降、日本経済は目標を見失います。それまで開幕へ向けて膨大な金と人を注ぎ込み、それが終わったあとに残るのは「祭りの後の風景」です。

2020年には、団塊世代の高齢化と多死時代が顕在化します。20年代、団塊世代は後期高齢者になります。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、毎年の死亡数は150万人台に達し、出生数の2倍になり、高齢化率は30%を超します。2030年には未婚や離別、死別による単身世帯の急増が始まります。特に単身化が進むのは、その時期に中高年となる団塊ジュニア前後の60代男性で見ると、05年に10%だった一人暮らしの割合は30年に25%に増え、女性も50、60代で単身化が進みます。男女合わせた全世帯で一人暮らしは4割に迫ります。

そうした社会的変化をきちんと想像しておかないと、単純な「マスコミの煽り」に躍らされるかもしれません。

2020年までの6年間という時間も、「小学1年生が中学1年生」になる時間であり、「中学1年生が大学1年生」になる時間であることも理解しておかなければなりません。本格的な新しい社会の出現まで残された時間は「わずか6年」なのです。

2014年のキーワードは「リアリズム」です。現実を的確に理解した計画と行動が重要です。動物園のライオンなどの猛獣には月に何度か定期的に生きたウサギを「生き餌」として与えていることをご存知でしょうか。定期的に本能を満たしてやらなければ、野生の動物は生きていけないのです。

政治や経営はまさに「リアリズム」の世界です。メルヘンやフィクションではありません。絶えず、変化や由来や統計に目を向け、変事に備えなければなりません。消費税やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)という直近の課題に向かい合うと同時に改めて組織を鍛えるという行動も必要でしょう。

新年早々、いささか刺のある内容かもしれませんが、戦うためには「Good News」も「Bad News」も必要です。

皆様方のご多幸と繁栄を祈念いたします。重ねて、今年もよろしくお願い致します。