s_photo103月19日の朝、ネットニュースを見て驚いた。
金融庁が、中小企業金融円滑化法の方針を「返済猶予」から「廃業勧告」へ舵を切り直すという日経の記事でした。相当に厳しい基準で企業経営を見直し、再生の見込みのない企業は休廃業させるという内容です。
以前から、こうした状況になることは分かっていましたが、正式に金融庁がこうした方針を打ち出すと、金融機関はいわゆる「お墨付き」をもらった事になり、今まで手をつけられなかった案件に一斉に乗り出し「融資停止」「貸し剥がし」を始めます。金融機関の「貸し剥がし」の凄まじさは、実際に数社の実例を身近に見ているので容易に想像がつきます。まさに血も涙もない冷徹な仕打ちが始まります。

記事の最後の部分にはこんな文章がありました。
〜破産しても手元に残るお金に失業給付金相当額を上乗せし、経営者に最大460万円まで残すことを認める。会社員になった後に才気を探ることも可能になる〜
なるほど、460万の手切れ金を渡すので、会社を潰せ!ということか・・・。

日本の企業の生産性が国際的に低いのは、本来潰れるべき企業を潰さなかったため、本当の意味での「競争力」が身につかず、イノベーションやスキルに関して革新が出来なかったからです。その意味からすれば、本来の正しい風景が始まるのですが、実際に「債務超過」の企業はこれから地獄を見ます。私の頭のなかに、すぐに数社の企業名が浮かびました。

以下、日経のネット記事を掲載します。

【中小の転廃業促す 金融庁、返済猶予から転換 】

  金融庁は中小企業金融円滑化法に基づき返済猶予を受けてきた中小企業に対し、転廃業を促す方針に転換した。金融機関への立ち入り検査でこれまでは返済猶予を求めてきたが、無条件で返済を猶予するのではなく、金融機関が抜本的な企業再生に取り組むよう促す。官民ファンドの地域経済活性化支援機構で新事業に再挑戦する中小企業経営者を後押しする新制度も年内にも始める。

 円滑化法は中小企業の資金繰り支援のため2009年12月に導入され、13年3月に終了した。その後も金融庁は激変緩和のため、金融機関に「返済猶予」を求めていたが、今後は「抜本的な企業再生」を求める方向にカジを切る。近く始める地銀への検査でも取引先の持続可能性を個別に聞き取り、地銀が取引先企業の転廃業に取り組むよう促す。

 借り手の中小企業の経営者にとって、融資の返済猶予はもろ刃の剣だ。返済期限の延長など融資条件を優遇してもらう利点がある一方、猶予期間中に返済原資となる本業の収益力が回復しないと、最終的には金融機関の支援を受けられず、破産するリスクが高まる。破産すれば「ブラックリスト」に載り、新たな借り入れは難しくなる。

 中小企業の経営者が事業に再挑戦するうえで最大の障害は融資の8割に付いている「経営者保証」の存在だ。自宅など私財をすべて回収されるリスクがあり、債務超過であれば一生債務を背負うことになる。こうした事態を防ぐため、金融庁は金融機関に企業が債務超過に転落したり、破産したりする前に債務を整理し、経営者の重荷を取り除くよう求める。

 金融庁は経営難の中小企業の転廃業を促すため、地域経済活性化支援機構を活用する。企業の資産が負債を上回っている段階で金融機関に債務免除(金融機関から見れば債権放棄)を申請できるようにする。貸し手の複数の金融機関間の調整を機構が肩代わりし、経営者が過度な責任を問われないようにする。

 今国会に同機構法改正案を提出し、施行時に新たな支援基準を作る。これまでは借り手が経営難の企業である不良債権を支援対象にしていた。新基準では「誠実な経営姿勢」「適切な情報開示」など借り手の経営者の資質を調べ、よければ金融機関がこうした企業向けに持つ正常債権も支援する。

 支援する借り手企業に(1)早期の事業再生(2)事業再編(3)業態転換(4)休廃業――といった選択肢を検討してもらう。仮に廃業となっても工場跡地など資産をマンションなどに有効活用できる。破産しても手元に残るお金に失業給付相当額を上乗せし、経営者に最大460万円まで残すことを認める。会社員になった後に再起を探ることも可能となる。(転載終)

 

この記事を読んで、ある後継者は情けないことにこう言いました。
「うちは無借金だからこんな記事関係ないですよ」
「おい、そんな想像力のない貧相な話をするんじゃねぇ。自分たちの取引先がどうなるかまで想像しろ!取引先が潰れたら君の会社はどうなるんだ?売上は?利益は?存続は??いずれ会社を引き継ごうという人間が、そんな赤ん坊のような寝言を言うなよな!!」