経営者のための人材育成コラム

「全社幹部化」のススメ 〜危機意識の共通のために〜

    経営トップの最大の悩みは、自分の考えていることを「組織の人間」が十分に理解してくれないことです。

    組織に所属している人間がつらいのは、「経営トップ」の考えていることが良く分からないということです。

     

    さて、組織には「目的」も「目標」もあるはずなのですが、どういうわけかそうしたものの【共有】がなかなかうまくいかない。多くの組織が、業務で悩んだり、コミュニケーションでつまずいたりするのは、その【共有】がうまくいっていないからです。では、なぜ【共有】出来ないのか・・・。

    立場や責任、などという抽象的な表現ではなくその原因を追究すると

     

    1・経営者と所属する人間の「情報量」の違い

    2・経営者と所属する人間の「時間感覚」の違い

    3・経営者と所属する人間の「方法論」の違い

     

    ということになります。

    例えば、「情報量」に関して言えば、業界団体の集まりや経済情報誌からさまざまな知識を仕入れようとする経営者と、組織から与えられた言葉や数字しか知らない人間の「分析」や「判断」はおのずからその発する【熱量】が違います。経営トップが訓示や朝礼で必死に伝えようとするものに対する関心も、当然のことながら温度差を持ってしまいます。

     

    卑近な例ですが「消費税アップ」という情報に対しても、所属する人たちが自分達が購入する家屋や車両という消費する立場からその負担を想像するのに対して、経営トップは供給する側からその姿を想像します。同時に組織に所属する人たちが、今月の給料や今年のボーナスの金額を気にかけるのに対して、経営トップは3年後、5年後の組織の組織のありようから物事を考えようとします。

    そうした「情報量」の違いや「時間軸」の違いから導き出される「方法論」は、プロセスだけではなく、そのスタート時点から経ち現れてくる「姿」が違ってきます。

    そして、多くの経営トップがこう言います。

     

    「組織に所属する人々の意識変革が課題だ」

    「組織のレベルを上げなければならない」

    「社内の教育訓練を推し進めなければならない」

     

    ところが、こうした言葉が実は冒頭の【共有】出来ていないことの象徴です。なぜならば「意識変革」や「組織のレベル」などという言葉そのものが【抽象語】であることに経営トップが気付いていないのです。具体的に「意識改革」を説明しない限り、「情報量」も「時間感覚」も「方法論」も違っている組織の人たちに伝わるわけはありません。ましてや、「教育訓練」などという形のないものを会議の議題に出したところで、議論が深まるはずはありません。

    今年の「とじき塾」は、そうした組織が抱える課題を背景にして【全社幹部化】がテーマです。これは、全員に幹部意識を植え付けるというものではなく、「それぞれの立場で、全員が社長の考えていることが分かる」という姿を作り出す試みです。

    専務は「99%」社長の考えていることを理解しておかなければなりません。なぜならば、社長に万が一のことがあったときに組織を導く立場にあるからです。常務、部長たちは「80%」社長の考えていることを分かる必要があります。この人たちがぶれると、組織は何をすればいいのか分からないままに動き出します。課長、係長は「60%」、一般社員は「50%」、パート・アルバイトの人たちですら「30%」は、社長の考えていることを理解しておかなければ、組織が順調に動くはずはない!

    このことを【全社幹部化】と呼んでいます。

    【全社幹部化】を図るためには「知識」が必要です。社会人、企業人としての「常識」が必要です。企業組織である以上、組織運営のための「技法」や「要素」が必要です。2月から11月までの10ヶ月をかけて、参加組織の「底上げ」を狙っています。

     

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