帝国データバンクの九州版のニュース誌に12回に渡って「5S活動」に関するコラムを書きました。月一回の掲載でしたが、編集担当の情報部長様が随 分と気を使って下さって、かなり自由なことを書かせてもらいました。
そうした経緯もあって、5Sに関する質問をたくさん頂いたのですが、そ の中で最も多かったものが 「5S活動をしているのだけれど継続するのが難しい。どのようにすれば継続できるのか?」 「3年間5S活動をやっているが、この先続けていく自信がない」 「継続させるためにどのような教育訓練が必要だろうか?」… というものでした。
実は、この質問はかなり不思議なものでした。弊社のクライアント先で「組織活性化活動」の一環として5S活動に取り組んでいる組織で、5S活動を 継続できていない組織はほとんどありません。むしろ、何年間5S活動を続けています、という組織ばかりです。どの組織も、当たり前のよ うに、自分たちで決めたルールを淡々と守り、活動以前と同じようなレベルまで落ちてしまった組織はないのです。 そのことについて、最終回の原稿で書いているので一部転載します。
「帝国ニュース 九州版 」
5Sは、継続するのが難しい?
さて、5Sに関する連載もいよいよ最終回です。 本稿を書くようになって様々なお問い合せやご質問を頂きました。その中で、一番多かったものが、「5Sは継続するのが難しい」「どのようにすれば 、5Sを継続できるのか?」というものでした。実に不思議な質問としか言いようがありません。何よりも「継続」出来ないような活動を組織にさせては いけません。 スタート地点から間違えている! 弊社のクライアント先で、5Sを継続できなくなっている組織は一社もありません。ごくまれに、以前より取り組み精度が下がったという例はあります が、継続できなくなったという話は聞きません。それは、弊社のクライアントが、5Sを「プロジェクト」として捉えているからです。それに対して、自 己流(?)や漠然としたイメージで活動を始めてしまった組織は、「日常活動」として5Sを考えているようです。そして、そうした組織の5S活動は【 利益】と直結していないので、意欲も意識も低いままで過ぎていくのです。挙句、「継続が難しい」などと言ってしまうのです。 5Sは「プロジェクト」! プロジェクトとは、「ある目的や目標を、一定の予算と期日の中で達成する組織的取り組み」のことです。今から5Sに取り組もうとする組織の方々は 、この【達成】という部分に注目してください。5S活動を、「継続して段階的にレベルを上げてゆく」と考えると、この【達成】が見えません。逆に言 うと、5Sをプロジェクトとして捉えていないので、到着地点が見えていない。到着地点が見えないので、5Sを「継続的なもの」として考えてしまう、 という堂々巡りの中で組織をかき回してしまっているのです。「5Sは継続が難しい」と言ってしまうのはこれが原因です。では、「5Sをプロジェクト 」として考えると【3ヶ月でこのレベルまでの組織にする】という明確な目標があります。そして、それを達成した時にその組織は階段を一段上がって いるのです。階段を一段上がった組織は、なかなかレベルが落ちません。つまり、容易に「維持」が出来るということです。(転載終わり)
実感としては、「組織的改善活動」を段階的にレベルを引き上げようと考えている組織が少なくないことにかなり驚いています。組織は個人ではない ので、継続的に「変化させる」のはとても難しいのです。個人であれば細やかな動きや記録で管理できることも、組織的には工数がかかりすぎて現実的 ではありません。むしろ【プロジェクト】として一気にレベルを上げなければ、組織の方向性はすぐに下へ向かうのです。 組織改善に関するこうした基本的な事柄が認識されていないとすれば、現代組織に要求される「速度」は満たせません。このことに関しては、毎月弊 社で開催する「とじき流 5S活用術セミナー」や各地で行う「セミナー」で再度表現を改めて解説しなければならないと痛感しています。 個人の成長と組織の成長は全く別物であることを是非認識してください。これらについては、オフィシャルHPでも随時解説を加えたいと思っています。