その中で最も重要なものは「時代認識」と「立位置」です。
時代の流れであれ、組織の立位置であれ、時代から離れたところに「組織」の存在意義はない。
まず組織は、「正確な時代認識」を学ばなければなりません。
「黎明(挑戦)~成長~安定~成熟~衰退」という組織のサイクルを理解した上で、現在の【立位置】を明確にすることから、新しい何物かが生まれる。
この【立位置】とは、多角的なものの見方のことです。
例えば、「建設」は大きな意味からいえば成熟から衰退に向かっている。明治以来140年、戦後復興から60年を越えて設備投資を続け、挙句人口減少という構造的な課題が出てきた瞬間に、衰退へベクトルの向きが変わった。全国で建設系企業や関連業界が悲鳴を上げているのは、単に燃料や資材が高騰したからだけではない。時代の大きな流れ、潮目が変わったのです。
ところがここに「環境」という視点を加えると、にわかにその「衰退」が「挑戦」に変わる。あるいは、「グローバル」な視点を持つと「発展途上国」という新しいターゲットが見えてくる。実は「建設」は衰退産業ではないことが分かる。
自分達が住んでいるところが「都会」であるか「地方」であるかの分類も、以前ほど決定的な意味を持たなくなり始めた。「情報」というものが以前ならば川上である「都会」からの一方的な垂れ流しであったのに対し、現在では「通信技術」の発達により、川下であった「地方」からの発信が可能となり、同時に多様な「情報」が次の新しいものの起爆となり、高度に成長した「流通」により、格差を縮めている。
新聞やテレビが定型句のように叫ぶ「地域間格差」がいかに嘘であるかも知る必要がある。20年前、30年前に比べれば、地方がどれだけ発達し都会との「格差」を縮めたかを隠して語る言葉に真実はない。
ひどく個人的なことだが、私が18歳の頃、宮崎から福岡へ車で向かうのに、6時間近くかかったものだってが、現在では3時間半あれば移動できる。こうした現実を平明な視点から捉えないと、嘘の多い「マスメディア」に踊らされて、下手を打つことになる。
こうした多角的な視点から組織を再点検すると、風景が変わる。
組織の【立位置】を知ることにより、組織の明日が見えてくるのだが、残念なことに多くの組織が学ばない。
昨日の失敗を嘆き、今日の忙しさに追われ、明日の不安に胸を痛める。
「異業」すなわち、異なる業種の人々に学ぶことです。
「製造」は天候や天変地異に左右される、第1次産業(農業・漁業・林業・鉱業)に学ぶべきです。
「サービス」は、工期が定まったら死に物狂いでその工期に向かって走り続ける「建設」に学ぶべきです。
「製造」や「建設」は、「サービス」に学ぶことが多い。個人の幸福や満足のために労をいとわない「サービス」に生き残りのカギがある。
失礼を承知で書けば、「同業」に学ぶべきことは少ない時代になっています。
「あそこがこんなことを始めたので、うちも始めよう」
では、後手を踏んでいる。
時代変化の速度は、それほど穏やかなものではない。
「黎明(挑戦)~成長~安定~成熟~衰退」という組織のサイクルを理解した上で、現在の【立位置】を明確にすることから、新しい何物かが生まれる。
若者よ!
今こそ「異業」に学べ!