なぜ、利益に関心が薄いのか

 

「絶対利益」とは、【仕事があってもなくてもその組織が一年間に必要とする金額】のことです。一般的には「固定費」と呼ばれるものですが、こうして会計用語を使ってしまうので、組織に所属する人間たちには分かりのくい。

「そんな馬鹿な、固定費ぐらいは分かるだろう!」

などと言うのは、経営者の思い上がりです。

たとえば、「福利厚生費」や「法定福利費」は固定費に属しますが、この意味を正確に組織に所属する人々に説明できる経営者は多くありません。

「会社経営には金がかかるんだよ」

などと、わけの分からない説明をするのがおちです。

社員たちが「利益」に関心が薄いのは、経営者がそうした「利益」に関して丁寧さを欠いているからです。

 

「いや、売上げを上げるように言うも言っている!」

「経費を抑えるように、いつも言っている!」

と経営者は言うのですが、それは「売上げ」や「経費」のことを言っているのであって、「利益」について語っているわけではありません。

 

そもそも、組織にはさまざまな世代がいます。ベテランがいて中堅がいて新人がいる。男女、という性差もある。おまけに諸種が違うので、営業や販売や製造や経理などという立場で微妙に考え方が違う。そこに、近年深刻な、正規社員と非正規社員という壁が立ちはだかる。

結果、社員が興味を持つのは「自分の給料だけ」などといういびつな空気が組織の中に流れています。

 

「俺たちはこんなにがんばっているのに・・・・・」

「あいつらは楽をしている!」

挙句、部門間や個人間で「対立」が起こる・・・・・。前回も書いたように「バラバラ組織」の発生です。

 

 「公式」では分からない!

 

一般的な経営書や会計の解説書によれば、

  • 限界利益=売上高-変動費
  • 限界利益=固定費+利益

と表されています。

さて、これを会社のホワイトボードに書き付けて、皆さん方の組織の人々は「分かった」というでしょうか。ましてや「納得」するでしょうか。

理解したり納得したりしていない数字をいくら見せても、組織は動きません。目的もなく「歩け」と言われても人間は動かないのです。しかし、「遠足が楽しいものだ」「目的地にたどり着けば楽しいお遊びが待っている」ということが分かれば、幼稚園生でも喜んで歩きます。保母さんたちは、そのことが良く分かっているので、子供たちに歩く目的を「丁寧」に説明をします。

「馬鹿な社員が多くて・・・・」

と社長や専務が言うとき、このことを忘れています。つまり、「丁寧さ」を欠いているのです。

 

これは、何も社員たちのレベルが低いなどということを言っているのではありません。むしろ「現場」は、ものを売ったり、作ったり、集計することに関しては専門家であり優秀なのです。むしろ、その優秀な現場に対して、「丁寧な」説明ができない経営陣の【まずさ】について言っています。

「売上げがあがれば会社は儲かる」

「経費を抑えれば利益が出る」

「人件費を抑えれば・・・・」

現代の日本は、多様化が進み、そうした「単純な思考」で会社経営はできないのですが、相変わらず借り物の「公式」で会社を割り切ろうとする経営者がいます。

 

「絶対利益」を集める!

 

「中国人は3ヶ月で英語がしゃべれるようになる。日本人は1年かかってもだめだ」

という話があります。ある英会話の学校が学生たちに「なぜ英会話を学ぶのか」というアンケートを取ったところ、日本人の多くは

「相手の言うことを理解するため」

という回答が多かったそうです。それに対して中国人の回答は

「自分の意見を言うため」

という理由が圧倒的に多かったそうです。つまり、日本人は「受身」で英語を学ぼうとするのに対して中国人は「攻めて」英語を学ぶ、という違いがあるのです。

「売上げを上げろ!」

「経費を抑えろ!」

という経営者の叫びは、実は積極的に見えて、「受身」なのです。その根底に、「粗利」という従来型の考え方が残っているからです。かつて、時代が右肩上がりで、商品を作ったり並べたりすれば、右から左にものが売れていた時代であれば「粗利」でものを考えればよかった。しかし、現代はグローバル化が進み、依然としてデフレが強く、決まった「利益」を「売上高」が保証しないのです。定価でものが売れることもあれば、値引きをしなければ売れないこともある。つまり、一定の「粗利計算」では、企業経営が難しい時代になっているのです。

「絶対利益を、全員で集める!」

ということを本気で組織に伝えることができたとき、初めて時代にあった「利益管理」が可能となります。

そのためには、組織に対する「丁寧さ」が重要になります。自社における限界利益とは何か?その金額の総計はいくらか?その金額の中にみんなの給料や賞与が入ってる。それを「全員で」集めようではないか!と経営者が伝えきったとき、組織は激変します。

 

弊社のクライアント先の従業員は、全員「絶対利益の意味」を知っています。そして、その「金額」も知っています。

明確な「目標」を持ってる組織に変化しているので、世代間の対立や部門間の対立はきわめて少ない。そして、それはパートの女性陣も同様で、「おばちゃんたち」も一緒になって、「絶対利益」を集める活動に参加しています。

中小企業の苦手な「マーケティング」も、「絶対利益が不足している」という観点から考え始めると、組織内から湯水のごとく「アイディア」が出てくるのです。

「絶対利益を、全員で集める!」

このスローガンを立てるためにも、「絶対利益管理体制」という仕組み(システム)構築が必要です。