「利益」の行方

〜金を稼いで何をする?〜

 

ずいぶん前に読んだ本なので、出典は覚えていませんが、こんな意味の文章を記憶しています。

「【金】そのものが好きな人間はまれである」

何となく誤解を招きそうな文章なので、解説が必要です。

ここでいう【金】とは、お金のことです。つまり「お金そのものが好きな人間は少ない」という意味です。例えば、昔ならば、壷にお金を入れ、床下にでも隠しておき、夜中にそれを取り出し眺めては「満足する」といった意味です。今ならば、金庫に積み上げられた札束をひとり眺めてニタニタ笑いながら至福の時間を味わう、といった風景でしょうか。ごくまれに、そうしたことに快感を覚える人もいるそうですが、一般の人はそうではありません。一般の人たちは、「集まった金」で「何かをする」、あるいは「何かが出来る」から「お金」が好きなのであって、【金】そのものに興味があるわけではありません。

 

お金に関して言うならば

「何か欲しいものを手に入れるために、何かをするために必要な【金】に興味を持っている」

というのが正しい表現です。

 

経営者が組織に向って「儲けよう」と言う時、「稼ごう」と言う時、「利益を出そうぜ」と言う時、上記の意味を理解していないと、悲惨なことになりかねません。

「そんなに儲けなくてもいいじゃないか」

「金のためにあくせくしたくない」

「銭、銭、うるせぇんだよ!」・・・・・

 

【絶対利益】とは、その組織にとって、仕事があってもなくても絶対に必要な「金額」のことです。そのお金を、一年間かけて集め切ってしまったら、企業は倒産しません。正確には

 

【固定費】+【予定納税額】+【目標利益(税引き前)】=【絶対利益】

 

が正しく、それを【目標絶対利益】と呼びます。組織の第一義的な目的は「存続する(3年後5年後も会社が存在している)」と言うことですから、この【目標絶対利益】を全員で集めるための日常活動が最優先になります。仕事を取ってくること(営業)も、ものを売ったり(販売)ものを作ったり(製造)サービスを提供したりするのも、請求書を発行したり会計業務を行うのも、すべてその最優先事項のために行います。

「原価意識が低くて・・・」

「利益に関して興味が薄くて・・・・」

「利益に対する執着心がない・・・・」

コンサルティング先でよく耳にする言葉です。経営者が思っているほど、組織の人間達は「利益」に興味を持っていないのです。

さて、何故でしょうか・・・・。

「利益」の向こう側に、何があるのかを組織の人たちと「本気で」語り合ったことがあるでしょうか。「利益」の向こう側の世界をきちんと説明したことがあるでしょうか。「夢」を語るのではなく「利益」の向こう側を感じさせたことがあるのでしょうか。

「そんなことぐらい、言わなくたって分かるだろう!」

その「思いあがり」で墓穴を掘ることもあります。

「経営者の仕事」は、いたるところにあります。