レジ周り

「やらされ5S」の原因

ある目的をもって「5S活動」に取り組んだのに、それがなかなか維持できない。あるいは「一過性」の活動で終わってしまいいつの間にか活動が消えてしまった。・・・・
そんな組織は少なくありません。
しかしながら、「5S活動」がきちんと定着し、日々精度を上げているという組織も間違いなくあります。さて、その違いはどこにあるのでしょうか。

「5S活動」全体について重要なことは、活動が絶えず【全体】に関わっている、という認識です。内部的に考えれば、「整理」「整頓」「清掃」は業務に直接関わってきます。誰かがいい加減なことをすれば、生産性低下の原因になりかねず、活動に積極的ではない人物やグループがあるとすれば、コミュニケーションにおいて重大な障害になりかねません。外部から見たときは、「清潔」「しつけ」という分かりやすい評価基準で判断されるので、誰か一人が挨拶に関して無頓着であれば、客の信用を一挙に落とすことになりかねません。
つまり「5S活動」とは、個人の思いつきや一時の組織的モチベーションから出来るものではありません。絶えず、組織の「現状」と「将来」に関わる、という自覚と結びついていなければなりません。

そのとき、経営者や推進者、あるいは推進チームが、これは必要なことだから、と意気込んで【押し付けて】しまうと、その5Sは「やらされ5S」になって、うまく維持できなくなってしまいます

 

ドアの硝子を拭く娘

ある年の正月、新年早々、大阪のある企業を訪ねる用件がありました。初めての訪問なので、訪問予定時間より早めに近くまで出かけました。場所は、大阪御堂筋。世界的ブランドショップが立ち並ぶ一角です。歩道に立って時間調整をしていると、若い女子が厚手の防寒着を着て、ショップのドアのガラス窓を吹き始めました。時間は午前10時前、年が明けて数日という頃ですから北風が強くかなり寒い日でした。ショップの看板を見ると、世界的なブランドの名前がかかっています。

実は、この話をある「美容室」で話したことがあります。「5S活動」を始めたばかりで、自分達で「ルール」を決めることの出来ないお店でした。その店は、美容室なので内部は綺麗なのですが、外側の清掃が行き届いていないお店でした。
「さて、このお店は、何屋さんなんだろうね。お客さんはこのお店に何を求めてきてくれるだろうか。その時に、お店のドアの硝子はどれくらいの頻度で清掃すればいいんだろう。今みたいに、一週間に一度でいいかどうか、みんなで話し合ってみてくれませんか?そこで決めたことが一番正しい回数だから。でもね、以前私が大阪の御堂筋であるお店の前に立っていたら、寒風の吹き付ける朝に若い女の子が・・・・・。さて、このお店はブランドショップではないけれど、一度自分達で考えて決めてくれませんか」

その次に訪問して結果を聞いたところ、「毎朝する」というルールが決まり、実際に「当番表」を作って活動を行っていました。そしてそれは今も続き、今では「当たり前」のことになっています。

 

「ルール」を自分達で作らせる

個人も組織も、本当に納得したことでなければ継続して活動を行えません。そして納得したことでなければ、反対者や消極的な人たちに対して「説得」を始めません
実は、継続して「5S活動」を行うためには、「ルール」に全体の納得を含ませる、というプロセスが必要です。当然組織の中には、反対者がいたり、いやな顔をする人間もいるわけですが、「5Sの目的」「組織の将来像」から考えたとき、というイメージをぶつけながら、全員で「ルール」について一度考えさせるプロセスを入れてあげるのです。それは、会議の中で行ってもいいし、部署別に検討させてもいいのですが、必ず一度意見を出させることが必要です。

私達は、このプロセスのことを「体を通す」と表現します。
個人も組織も「体の中を通ったもの」しか納得をしないのです。
「今度からこうするので、みんなちゃんとやってください」
などという、一方的な【押し付け】だから継続しないのです。

組織を納得させるときに重要なことは「他社事例」です。よそのやっていることだけではなく、よその組織の目指している「レベル」を組織の人たちに伝える作業が大切です。
もちろん、すべてを全員にゆだねるのではなく、【組織の方向性】に沿っているかというチェックと、経営者が示す【組織の枠組み】が最も重要であることをお忘れなく。