とじき雑感

教えざる罪

    私の周辺での声ですが、1956年、昭和31年前後生まれの世代はちょっと変らしい。
    ひと言で言うと【個性的】、別の言い方では「頑固」「無茶」「いいかげん」・・・。
    うーん、該当者としては反論したいところもありますが、いかんせん「横浜のI先生」「大分のK社長」宮崎のH社長」「宮崎のO社長」などの顔を思い浮かべると、私の周囲にいる人たちの意見もそれなりに・・・。

    で、ここでご紹介するIMARI㈱の福井社長も同世代です。防衛大学校ご出身という異色の経歴と日頃の勉強ぶりと時代分析に関しては、実に的確で、同時に【個性的】。尊敬する社長たちのお一人です。(私は組織論の基礎と軍隊における考え方という貴重な得難い教えを頂いています)
    昨年2月に弊社主催の「とじき塾」で講演して頂いた時に書いたメルマガの文章です。

     

    【今週のことば】・・・ 教えざる罪
    こんにちは。戸敷進一です。  2月も半ばを過ぎ、花粉症の季節がやって来ました。おまけに北部九州は中国大陸からの西風をまともに受けるので「PM2,5」の影響も強烈です。朝部屋の窓を開けた瞬間、くしゃみが止まらなくなるのは、花粉とPM2,5のせいだと思います。春がやってくるのは悪くないのですが、こうした現象には頭を悩ませてしまいます。

     

    さて、2月の「とじき塾」は、弊社と昔からお付き合いのあるIMARI㈱の福井秀平社長様に、組織活性化活動の取り組み事例を話して頂きました。
    組織活性化活動とは、簡単にいえば時代に合った組織づくりを「能動的」に行う、ということです。そのためには、組織の中で【共有語】の確認が必要です。

    例えば、経営者が朝礼や会議でいつも使う「きちんと」「ちゃんと」という言葉が、抽象語であることを知っていただきたいと思います。60歳の社長が言う「きちんと」と18歳の社員が考える「きちんと」は別物です。50歳の専務の言う「ちゃんと」と25歳の社員が思っている「ちゃんと」はまったく別物です。おまけに、組織にとってもっとも重要な「利益」という言葉も組織では共有されていません。決算書に書かれた「売上総利益」のことなのか「経常利益」「営業利益」のことなのか、「当期純利益」「純利益」のことなのか、誰も知らないまま「利益追求」などという言葉を使っています。  時代変化が進み、同じ組織の中にいても「言語」が共有出来ていない姿は、いたるところで見つけることが出来ます。

    「そのくらいのこと、言わなくたって分かるだろう!」 という言葉が、若い世代には一番わからないそうです。以前ならば世代が違っても価値観を共有していたので、言わなくても良かったことが、今は言ってもよくわからないのです。試しに「ステーブ・マックイン」や「アラン・ドロン」を知っているかどうか若い人たちに訊いてみてください。「衣紋(えもん)掛け」を知っているかどうか訊いてみてください。おそらく30歳以下の世代は誰もそれの意味を知りません。しかしながら、組織のトップや幹部たちが 「そのくらいのこと、言わなくたって分かるだろう!」 と叫び、時代と人を舐めているので組織が機能的に動いていないのです。

    「実は、経営側が、教えていない、という罪があって・・・」
    「とじき塾」が始まる前に昼食を取りながら福井社長がおっしゃった言葉です。
    「経営者に【教えざる罪】があるんですな。必要なことを教えない、必要なプロセスを教えない、必要とする期間や期日を教えない。ただ、毎日大声を上げているだけという無様な姿が現実です」 「中小企業では、相手が分かろうが分かるまいが、言い続けなければならないものがあります・・・・」

    【教えざる罪】とは、とても重い言葉だと感じました。
    教えてもいないのに、相手をなじる!
    教えてもいないのに、相手を馬鹿にする!
    教えてもいないのに、教えてもいないのに、教えてもいないのに・・・。

    「改善クラブ会員企業」へは、DVDが届きます。ぜひ、経営者と幹部で一緒に見てください。他社がどのように組織を変えようとしているのかを知ることはとても大切なことです。

     

    「とじき塾」が終了したあと、コミュニケーションの取れているある若手幹部にこう声をかけました。 「今日の福井社長の話は、すべて【自責】の話だったのに気付いたか?【他責】の話が一切なかったことに気付いたか?社長が分かってくれない、ではなく、社長に分からせようとしていない自分のことを考えろ!社員が分かってくれないではなく、分からせようとしていない自分たちのことを考えろ!【他責】の話なんかしている暇はねぇぞ。○○が悪い!○○だから出来ない!僕は悪くありませんなんて言うんじゃねぇぞ!」
    若い後継者候補は、何度も何度も頷いて帰りました。

    別の企業の専務にはこう声をかけました。
    「専務、活動が踊り場にあるとすれば、それを一度突き破らないと、次には行けねぇな。一回目の活動は社長と工場長がやった。次は専務と若手てやりあげないと、次はねぇぜ。いつまでも、5S活動がなんて言ってる暇はない!再度、組織活性化に取り組まなきゃね!」

     

    「とじき塾」は、毎月博多で開催しております。機会があれば、ぜひ参加してみて下さい。次の手が見えてくるかもしれません。  2月も残す所、2週間です。日々の業務に励むとともに、組織の今と将来についても考えましょう。
    戸敷進一でした。今週も、お元気で。

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