とじき雑感

年間24万人、年間110万人

    最近、最新の人口統計を調べていたら、2040年から2050年にかけての10年間で1000万人以上の人口減少があることが分かりました。新聞やテレビで「人口減少」などと安易に表現をしますが、具体的な数字で見ていくととんでもない社会が現れてくることがよく分かります。

    2040年など遠い時代だと思いがちですが、わずか25年後のことです。現在20歳の人達は45歳で、30歳の人達は55歳なので「現役バリバリ」の頃の話です。
    政府が勧めようとする「地方創生」など夢物語かもしれません。

    昨年書いたメルマガ「南風通信」です。

     
    こんにちは。戸敷進一です。
    10月末北海道へ行くと一部紅葉は終わり、枯れ葉が道路に落ちていました。11月上旬、滋賀と三重では、標高の高い山では紅葉真っ盛りで、平地ではこれからという感じでした。九州でも冷え込みは感じるものの、紅葉はこれからです。季節の動きを一番敏感にかじるのは今頃かもしれません。天体としての地球の動きとエネルギーは、いつも人の思惑の外で、淡々と景色を変え、時を刻んでいます。

    少し大きな話をすると、地球の歴史は46億億年前に始まります。最初の原始生命が誕生したのが39億年前。多細胞生物の登場が12億年前で、それからさまざまな変化と進化の過程で、2億5000年前に恐竜の全盛を迎え、霊長類の登場は約7000万年前です。そしてネアンデルタール人の登場が23万円前で、我々の先祖であるホモサピエンスの登場は約20万年前となります。人間が道具を使うきっかけとなった新石器時代は紀元前8800年ほど前のことで、ここから農耕文化が起こり、人類が記憶する歴史は約5000年前(紀元前3000年)から始まります。
    その間の人口の変遷は、紀元前8000年の頃が100万人、紀元0年が2億人、10世紀が3億人と推定され、18世紀初頭が10億人、20世紀初頭が20億人です。そして1950年の世界人口は30億人で2000年の人口が60億人となり、2014年現在の人口は72億人で、国連の予測によると2050年の世界人口は91億人となっています。

    何かを考える時に、大きな枠組や大きな流れを理解することは重要です。そうした視点を失うと目先の「点の動き」や短い期間だけの「線の動き」だけに目を奪われ、本質的な課題や行動から遠くなってしまいます。世界的にはすさまじい人口爆発が起こっているということと、時間軸を忘れずに日常や業務や経営は考えなければなりません。

    2013年の日本の新生児数は102万9800人でした。同時に死者数は126万8400人でしたから、人口自然現象数は約24万人です。24万人相当の都市は、埼玉県の草加市・長野県の松本市・佐賀県の佐賀市などが該当します。言い換えれば「現在の日本では毎年、草加市や松本市、佐賀市がひとつずつポンポンと消えていっている」ということです。当然この流れは加速しますから、十数年後には毎年50万人程度の現象が発生します。詳しい統計予測はありませんが、特殊出生率(一生涯に女性が子供を産む数)は1.44と上昇しているものの、子供を生む若い女性の数が現象をしているので、2030年には年間50万人規模の減少は起きそうです。そうなると、鳥取県の人口57万人が毎年消えていくことになります。ちなみに島根県の人口は69万人です。
    ここに新たな国土交通省の統計予測があります。

    「2050年の日本の人口自然減は年間110万人」

    110万人相当の日本の行政区は、大分県117万人、石川県115万人、山形県113万人、宮崎県111万人、富山県107万人、秋田県103万人、和歌山県97万人などです。都市で言えば広島市117万人、仙台市104万人、北九州市97万人ということになります。今から約35年後には、これらの県や都市が毎年消えていくという風景が目の前に広がっています。
    その時、それぞれの企業組織は、何を誰に売っているのか。採算はどうなのか。そもそも存続しているのかどうか・・・。

    2014年の秋、九州から北海道へ、京都・滋賀・三重と旅をしながら、移りゆく風景の確認をしてきました。若年層は少なく、高齢者たちが多く動き回っています。目先のことを言えば、金を持っている高齢者へのサービスを充実させ、今を凌がなければなりません。しかしながら、その先の風景を考える時「点のひらめき」「線の動き」では太刀打ち出来ない世界が待ち構えています。
    若手もベテランも自分のこととして、つまり【当事者意識】を持って、これからを考えなければなりません。整備新幹線や高速道路、リニアモーターカーに東京オリンピックと世間は「点の動き」に大忙しです。されど、時には、大きな世界の大きな流れを感じてみてください。

    今週もお元気で。
    戸敷進一でした。

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