とじき雑感

会長の抵抗

    さまざまな企業に関わってきたので、さまざまなシーンに出くわします。

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    ある社長に呼ばれ、土砂降りの雨の中を出かけたことがあります。約束の5分前に企業を訪問したところ、社長は来客中なのでお待ちください、と言われたのですが、応接室に通されるわけでもなく、待つ場所に案内されるわけでもなく、仕方がないので、玄関先の軒下でびしょ濡れになりながら30分ほど社長を待ったことがあります。その間、事務員さんが私に気を使うわけでもない。
    怒って帰ってしまっても構わないのですが、コンサルタントはそんなことを気にしません。その企業と関わる可能性があるときには、そうした「不可解な」「不愉快な」出来事を体験することが必要で、さまざまな改善の【原因追求】のタネになるので、興味深くその後の成り行きを観察します。
    「なぜ、彼女は私を軒下で待たせているのだろうか・・・・。性格か、仕組みか、教育訓練の不足なのか・・・・」
    コンサルタントは、一筋縄ではいかない生き物です。

     

    全社が一丸になりかけて、それが中途で途切れてしまうことがあります。理由はいくつかあるのですが、意外と「会長の抵抗」というものが少なくありません。
    二代目や三代目の社長の場合、立場は「代表取締役」でありながら、先代である「会長」の権限が強い場合があります。社長が「組織活性化」の取り組みに意欲的で、組織も体制が整い、いざ活動を始めた途端、どこからか「弾」が飛んできて、その瞬間、組織が棒立ちになる。
    全社で5S活動を行うことにしているのに「会長室だけはしない」という例外が飛び出す。資材置き場で、どう考えても10年間稼動していないような機械が処分されていない。理由を尋ねると「会長の思い入れの強い機械なので捨てられない」という。
    売上ではなく、「仕事があってもなくても組織にとって必要な金額」すなわち【限界利益】の仕組みを構築しようとするのですが、会長が突然「売上」にこだわって、「一円を拾う仕組み」がどうしても構築できない・・・・。

     

    だから、「改善活動」に取り組む時に、組織に所属する全ての人々を参加させて下さいとお願いをしています。アルバイト・パートを含めて、だけではなく「会長」や「会長夫人」も参加するようにお願いをするのです。

    「いやぁ、会長はいいですから」

    と社長が言っているから、活動が途中で止まるのです。全社一丸は、全社一丸なのです。

     

    「だから、私の講演研修に会長も会長夫人も呼んでください、と言っていたでしょう」
    「・・・・・」

    さまざまな企業に関わってきたので、さまざまなシーンに出くわします。そして、最悪のシーンを想定して、提案やお願いを組織にします。

    社長、だから言ってたでしょう・・・・。
    さて、もう一度、最初の「全社講習」をやりましょうか。今度は必ず、会長と会長婦人も呼んでくださいよ。同時期に活動を始めた企業は、もうマーケティングの準備を始めましたよ。多分ラストチャンスになるでしょうから・・・・。
    社長、お願いしますよ。

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