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組織にとって重要な要素はいくつかありますが、「人」というものは、最優先に属することです。組織の3要素は「人」「もの」「金」ですが、その先頭に来ているものもまた「人」なのです。

今から450年ほど前の戦国武将の武田信玄の業績を表した「甲陽軍鑑」の「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」という言葉は【本質】の言葉なので、現代でも充分に通用する。むしろ、価値観の多様性が究極まで進んだ現代だからこそ、組織について考える時、この言葉は軽いものではありません。

 

今回の「東日本大震災」発災当日、東京でも「帰宅困難者」が多数出ました。東京出身のスタッフが友人達に連絡をして聞いたところによると、帰宅する社員達に交通情報や近辺の避難所情報をメールで送り続けた企業と、まったく会社から連絡のなかった企業もあったという話を聴きました。なるほど、「組織で働く人」をどのように組織が考えているか、という本質の「格差」もまたこういう非常時に現れるのかも知れません。

 

さて、人間は本来「動物」なので、放っておくと「野生」のままで、「人間」にはなりません。「人間」であるためには教育が必要です。言葉を覚えたり社会のルールを守れるようになって始めて「人間」と呼べます。同じように、「人間」も教育をしなければ「社会人」や「企業人」にはなれません。社会の一般常識や企業のあり方を学ばなければ、実際の組織の中では役に立たないのです。よって組織は、さまざまな機会を捉えて、所属する「人間」に対して教育を行わなければなりません。「初任者研修」から始まって、さまざまな「技術研修」、職位による「幹部教育」や「安全」「環境」「品質」などという「要素研修」、最近では電子技術の発達による「IT研修」や顧客満足度向上のための「接客研修」まで行われています。

いずれにしても、組織にとって最優先の「人」に関して、手を抜くわけにはいきません。経験上から言わせてもらえば、「伸びている組織」は、この部分の活動が実に細やかで、なおかつ計画的です。逆に「伸び損ねている組織」は、この部分が実に手薄で、率直に表現すると、「人」を「もの」としか考えていない。

「給料を払っているんだから、文句を言わず働け!」

という雰囲気です。当然、「人」は育たず、なおかつ、優秀な連中から次から次に辞めて行く・・・・。よって、組織にとって「チャンス」が来ても動けず、もっと失礼を承知で書けば「チャンス」が来たことすら分からない。つまり、「成長の芽」がまったくない。当然、変化の早い現代において、競争力を持たず、意欲のある「人」がいないので、伸びるわけがない。こうした中小企業は少なくありません。

育てなければ「人」は育たず

「人」は育てなければなりません。

 

時々、「(社員が)自覚して、育ってくるのを待っている」などと偉そうな物言いをする経営者と出会うことがあるのですが、そんな経営者のもとから、「人」など育つわけがない。そんな企業の「部長」は、別の会社では「係長」か「課長」レベルでしかありませんし、「社員」たちは、アルバイトに毛が生えた程度でしかありません。本当の「組織間格差」はここにあります。他人は「事業規模」や「収益」の方へ目を向けがちですが、本当の「原因」はここにあるのです。すなわち、「人」を育てているか、いないか。

日常は、いつも慌しく過ぎていきます。出社すれば電話は鳴る。営業や見積提出や請求書の発行、出荷から配送、移動から販売から製作・施工からクレーム処理・・・・。揚げ句、社内会議や打合せや接待・・・・。なんともはや、気が休まる間もありません。

「忙しくて、教育どころではない!」

そういう声も聞こえてきます。

しかしながら、伸びている会社は、そこで手を抜かない。

何故なら「組織は人」であることを知っているからです。

 

「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」

 

さて、皆さん方の組織はいかがでしょう。

ちなみに、「社員一人当たりの教育予算が年間80万円」という企業を知っています。そこの「若い連中」は、同業種の同年代に比べたら、まぁ頭ふたつ分はず抜けていますな。だって、組織の「目的」も「手段」も「予算」も明確なんですから。「人」が育たないわけがない!