「5S活動」の成立過程

 

「5S活動」とは、「整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)」という5つの要素を組み合わせた、組織活性化の【技術】のことです。

その成立過程は、一般的には、日本社会の工業化が進む中で、製造業の世界で、生産性の向上や労働安全環境の確立のために3S活動(整理・整頓・清潔)というスローガン的なものから生まれています。呼び名は、3つの要素をローマ字で表したときに、全て先頭に「S」の文字がつくことからそう呼ばれました。昭和40年代から始まる高度経済成長下で多くの工場や建設現場に、こうしたポスターや垂れ幕を眼にしたものでした。

 

そうした工業化の時代の中で、世の中の変化が進み、社会や個人のニーズや企業のスタンスも変わり「清潔であること」「良くしつけられた人々」という新たなテーマが浮かび上がり、従来の「3S活動」に、「清潔」と「躾(しつけ)」という要素が加わり、「5S活動」という製造系だけではなく、全ての業種に当てはまる組織活性化技術が生まれました。

 

時期的にいえば、良く知られている「O157」という食中毒が1996年に岡山で発生し、死者2名、有症者468名が出たあたりから、「清潔」に対する国民の意識が高まりました。また、経済成長に伴い、さまざまなものが手に入るようになったときに、それまでの物やサービスを受け取るだけではなく、そのものやサービスを提供する人々にまで消費者の関心が及ぶようになったとき、「躾(しつけ)」というそれまで個人の資質に頼っていた要素までも時代の要求になったのでした。

 

つまり、「5S活動」とは、単なる片付ける技術を言うのではなく、その成立過程の中に、生産性向上や労働安全、秩序回復や顧客要求などという組織にとって課題とすべきさまざまな要素が含まれています。

 

多くの組織が、時代に合わせた変化を試みようとするとき、あるいは人材の育成を図ろうとするとき、またより高い利益を確保しようとするとき、「5S活動」は多面的な角度から組織を見直し、仕組みを再構築する絶好の【技術】となります。