「5S活動」は、ビジュアル(視覚的)な確認が出来やすいものなので、案外「簡単」にやれそうな雰囲気があります。
「片付ければいいんだろう!簡単じゃねぇか!」
という「捨て台詞(ぜりふ)」を聞いたこともありますから、一般的なイメージは、「簡単」な雰囲気です。もっとも、そうしてスタートした「5S活動」は、単なる「片付け」ですから、すぐに元に戻ります。年末や盆前の「大掃除・片付け」が、2週間もしないうちに元に戻ってしまうのは、活動が「仕組み」ではなく、「行動」だったからです。「仕組み」は手順と成果の組合せですから、簡単には崩れません。しかし「行動」は点の動きなので、次に繋がりません。

3度目の「5S」に取り組んでいる組織があります。
1回目は、4年ほど前幹部達が中心になって活動しました。2回目は中堅幹部が中心でした。そして3回目は「若手」が中心になっての活動です。
その組織から「キックオフ報告書」が送られて来ました。

(報告書抜粋)

今回のキックオフは今までとは違う緊張感を感じてもらい、表向きにだけするんではなく少しでも理解してもらい全社一丸を意識してもらえるよう心がけました。
今回は携帯電話の持ち込みを禁止して、皆さんが顔を上げて話しを聞くよう手元に資料は渡さずキックオフ終了後に参考として同封の資料を渡しました。(工程表は見にくいので渡しました。)
流れとしては資料の通りで、組織改善3つのタブーを前に貼り出し社長を含め上司の方に1回目、2回目のできなかった理由の一部が伝わるよう話ました。
今までこのような事がなかったので、この部分に触れる事で今回の若手の本気度は伝わったと思います。
・・・・・・ (中略)
⑤での○○(倉庫の場所)をよく知らないYさん(若い事務員さん)の「どうしてあそこまでなったのか?」はお客様目線からの意見としても捉えられるので、全体を通していい意味での、「どうしてあそこまでできたのか?」と言われるようにして行きたものです。

全体を通してまだ全社一丸にはなれた様子ではなかったですけど、今回の本気度は伝わったと思います。
本気度が伝わったからこそ今回は逆に上の立場の方からの意見がでたり、悪い方に行けば意見を言わないで好きにしていいよみたいな事になりかねないので注意していき、私達もしっかり仕組みやルールなどを明確にし全社一丸になるようしていきたいと思いました。(後略)

「5S活動」は、「仕組み」なので、手順と成果の組合せです。そして、その活動全体が「人を育てます」。
20代の若者達が、1回目、2回目に出来なかった理由を考え、若い女性がクラッシュ状態の倉庫を見て「どうしてあそこまでなったのか?」という素朴な疑問を組織に向って投げかける・・・・。

「組織が活性化」するためには【プロセス】が必要です。1回目の取組みも、2回目の取組みも、この組織にとっては必要な【プロセス】でした。こうして、次世代を担う若者達が育ち始めるために必要な【プロセス】でした。

ここ数日、さまざまな組織の「5S進捗報告」を受けながら、何度も頷いています。
どの報告も「本気度」で満ち溢れています。多くの「若者たち」が育っている様子が、手にとるように分かります。

「育て!育て!若者たち!ぐずぐずしている先輩など追い抜いてしまえ!君達の時代が目の前まで来ているんだから!」
全社を巻き込む「5S活動」は、実は【人を育てる仕組み】でもあります。